※本記事は法律の専門的な助言ではなく、一般人の立場からの考察です。正確な法的判断が必要な場合は、必ず専門家にご相談ください。
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はじめに
最近AIを使ってゲームのスクリーンショットからフィギュア画像を生成する人が増えています。まるで魔法のようですがこれって法的に問題はないのでしょうか?法律の専門家ではないですが素人目線でこの疑問を真剣に考えてみました。
結論から言うとAIを使ってゲームのスクリーンショットからフィギュア画像を生成する行為はやめた方が良いです。ではなぜそう言えるのかその理由を解説していきます。
AI学習はなぜ原則合法なのか?
まずゲームのスクリーンショットをAIに学習させる行為についてです。
日本の著作権法第30条の4ではAIの学習に使うための著作物の利用(これを「情報解析」と呼びます)は原則として合法とされています。これはAI開発を促進するために著作物を鑑賞する目的ではない利用を広く認めているからです。
しかしAIサービスの利用規約には以下のような内容が書かれていることがあります。
「あなたはAIに提供するコンテンツについて著作権を含むすべての権利を当社に付与することに同意します。」
この規約に同意してゲームのスクリーンショットを学習させた場合どうなるのでしょうか?
ユーザーはAIサービスの利用規約に違反する可能性があります。そもそもゲームの著作権はゲーム会社にあり、ユーザーがAI会社に勝手に著作権を譲渡することは基本的にできません。この規約はユーザーが著作権を持っていないコンテンツをアップロードした場合にAI会社が契約違反として対応できるように定められています。ただし、私の意見としては現実的にAI会社が個人ユーザーを規約違反で訴えるケースは非常に稀で、多くの場合はアカウント停止などの対応にとどまると考えられます。
また学習に関して合法なのは日本国内での行為に限定されます。もし海外のAIサービスにデータをアップロードする場合、日本法が直接適用されない可能性があり法的なリスクはゼロではありません。
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著作権侵害で訴えられるのは誰?
「そんな事をしてゲーム会社に訴えられたらどうするんだ?」と思う方もいるかもしれません。
著作権侵害の責任は基本的に侵害行為をした当事者に及びます。AI運営会社はもちろん、画像をアップロードし、そのAIで著作権侵害の画像を生成したユーザー個人も直接責任を問われる可能性があります。
現実には訴訟コストや悪質性の有無によって判断されるためリスクは低いとされますが、決してゼロではありません。AI運営会社とユーザーの双方が責任を問われる可能性があると考えるのが公平です。
生成した画像をネットに公開したらどうなる?
AIに学習させる行為自体が原則合法でも、その結果生まれた画像をネットで公開すれば話は別です。この行為は著作権侵害にあたる可能性が高いです。
フィギュア画像の生成によく使われる「i2i(image-to-image)」は入力画像(ゲームのスクショ)を基に、新しい画像を出力する技術です。これは単なる学習ではなく、学習済みのモデルを使って画像を変換・生成する段階にあたります。
- 複製権・翻案権の侵害: AIによって生成されたフィギュア画像は、元のゲームのキャラクターという著作物を基に作られています。元のキャラクターに似ていれば「複製」または「翻案」と見なされます。
- 公衆送信権の侵害: その画像をSNSなどにアップロードする行為は不特定多数の人に著作物を送信する公衆送信権の侵害にあたります。
AIイラストと手書きイラスト、何が違う?
他人のIPを無断で使った創作物は手書きでもAIでも著作権侵害にあたる可能性が高いです。しかし両者には大きな違いがあります。
- 手書きイラスト:描いた人の「創作的表現」が加わることで、描いた人に著作権が発生します。ファンアートは長年の「黙認文化」に支えられています。
- AIイラスト:単純なプロンプトで生成されたAIイラストは現状では著作物性が認められにくく、描いた人に著作権が発生しないと解釈される場合が多いです。そのため元の著作物に似ている場合には「複製物」と見なされやすく、ファンアートのように黙認文化の対象となりにくいのが現状です。
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ネット公開せず、自分だけで楽しむ場合は?
ではネットで公開せず自分だけで楽しむ場合はどうでしょうか?違法になる可能性は低いです。
これは著作物を「私的に使用する目的で複製する」ことが認められているためです。
まとめ
AIにゲームのスクリーンショットを学習させる行為自体は原則合法です。しかし利用規約違反や海外サービスでの利用などリスクはゼロではありません。AIを使ってゲームのスクリーンショットからフィギュア画像を生成する行為はやめた方が良いです。
また著作権のある画像をネットに公開する行為は著作権侵害にあたる可能性が高く、一方で自分だけで楽しむ場合は違法性は低いと思われます。
と、色々調べた結果こんな感じになりました。ご意見・ご感想あればコメントいただけると幸いです。