2026年9月、あるVTuber兼ゲーム開発者の投稿が海外で話題になっています。参考イラストからLive2Dモデルを自動生成する技術の報告ですが、このニュースで重要なのはコスト減と権利問題の解決にあります。
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AIで自動化できるようになりつつある

参考イラストからLive2Dモデルを作成し、モデリングまで済ませてVTube Studioで使える状態にするAIシステムを開発中との事。所要時間は1時間未満でエントリーレベルのモデル作成に成功したという報告だった。現在はミドルモデルを制作中との事。
実はこの手のツールが話題になるのは今回が初めてではないです。既にこういったサービスを提供している所もあります。しかし精度が高くなくモデルとしての質は高いとは言えません。ただ今回のものを実際に見ましたが、既存の類似サービスと比べても完成度は高く、成長の伸びしろも感じさせるものでした。
このAIモデリングという技術が個人VTuberの世界にとってコスト削減と権利問題を解決する可能性があります。
個人Vとクリエイター間に潜む『権利と予算』の歪み

Live2Dモデルの制作を外部のイラストレーター・モデリングを依頼する時、そこには明確な力関係があります。
依頼者(個人VTuber)はキャラクターに愛着を持ちそれを何年も育てていきたいと考えている。一方で交渉力はほとんどない。提示された契約条件をそのまま受け入れるケースがほとんどだ。作者の事情によってアップデートが止まったり、契約条件を巡って問題が生じたりする可能性もある。やりたい事があっても製作者が嫌がる内容であれば許可は出ない。
対する制作者(イラストレーターなど)は多大な労力と技術を注ぎ込んでいるにもかかわらず、受け取れる対価は一回きりの制作費に限られている。また自分の作った作品がどんな風に使われるかも気にしている。だからこそ著作権は手放さず、利用許諾の範囲に制限をかけるという自衛策を取る。
こうした権利の制約はお金で解消できる場合もある。著作権ごと買い取ってしまえばたとえ元の作者と関係が悪化してもモデルデータを別のクリエイターに引き継いで作業を続けてもらうことができる。企業所属のVTuberであれば事務所が著作権譲渡込みの高額契約を結ぶことは珍しくない。製作側からしても十分な対価を得ることができれば権利を手放す理由になる。
しかし個人Vにとってはこの解決策が難しい。仮にモデルの販売価格が10万円だったとする。個人にとって10万円は十分に高額な出費だ。しかし制作側からすれば権利を放棄させるには到底足りない金額。つまり個人Vは「そこそこの金額を払っているのに利用が制限される」という一番割の合わない立場に固定され続けてきた。これは技術の問題ではなく単純に個人が持つ予算の規模と著作権譲渡が成立する予算の規模の間に埋めがたいギャップがあるという話だ。
AI生成モデルの価値は「特定のクリエイターとの契約に依存することで生じる権利上の制約を大幅に減らせる可能性がある」という点にある。
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AI化が抱える問題

個人Vにとってのメリットを中心に書いてきたがAI生成モデルには見過ごせない問題も残っている。
代表的なのがイラストレーターたちが主張する「盗用」の問題だ。画像生成AIの多くは作者の許諾を得ていないイラストも含めてweb上のデータを学習している。これはイラストレーター側からすれば看過できるものではない。この問題を巡っては国内外で議論が続いており決着はまだついていない。この点はAI生成モデルのメリットを語る上で無視すべきではないだろう。また個人Vが使用する際にも学習元を巡る感情的な反発や炎上リスクは依然として残ります。
またVTuber界隈はイラストレーターなどのクリエーターと共に成長してきた分野です。当然認められるものではないという認識になります。
最後に

もちろんAI生成物には生成過程によっては著作権による保護を受けにくくなるという弱点もあります。しかし個人Vの規模で見ればこれも致命的ではありません。絵単体の価値はキャラクターを演じる「中身」と一体化して初めて生まれるものであり中身を伴わない絵だけがコピーされても商業的な脅威にはなりにくいからです。
これは買った車を自分好みにカスタマイズしようとしたらメーカーの許可が必要な上に、場合によっては別料金が必要というような状態に近い。車であれば誰もが「それはおかしい」と感じるはずだが、Live2Dモデルの世界ではこの構造がむしろ当たり前として受け入れられてきた。AI生成モデルが個人Vにとって魅力的なのは「買ったはずなのに自由にできない」という不自然な前提そのものから抜け出せるからだ。
企業所属のVTuberであれば事務所の資金力を背景にプロの手による高品質なモデルが標準であり続けるでしょう。しかし個人VTuberにとっては予算や構造的な力関係から抜け出す手段としてAI生成モデルが選ばれていくのは極めて自然な流れではないでしょうか。
